国境を越えて気軽に旅ができるのは、ヨーロッパ旅行の醍醐味のひとつ。ブダペストとウィーンは列車でわずか2時間半の距離なので、「ついでにもう一都市!」と、どちらも訪れる人も多いのではないでしょうか。
そんなブダペスト〜ウィーン間を結ぶ列車は、大きく分けると実は2つのタイプが走っています。
- オーストリア国鉄の「レイルジェット(Railjet)」略してRJX
➡️赤いボディが特徴で、モダンな印象。
➡️車両のタイプは決まっているので安心感あり。
➡️ビジネスクラス・ファーストクラスのゆったり座席もあり。 - ハンガリー国鉄の「ユーロシティー(Eurocity)」略してEC
➡️青と白の車両で、ローカル感あり。
➡️同じ1等車・2等車でもタイプは様々で、どんな車両に当たるかドキドキ!?
➡️隣国ルーマニアやウクライナからの車両が連結している場合あり、レトロ感がさらにアップすることも。
少し前までは、2時間ごとにレイルジェットが運行していましたが、近年はハンガリー国鉄のユーロシティーも加わり、1時間に1本のペースで列車が出ています。選択肢が増えて便利になりました!
同じ路線を走っていても「レイルジェット」と「ユーロシティー」では車両の雰囲気が大きく違います。
特に、ハンガリー国鉄やルーマニア・ウクライナからの列車は、車両によってはレトロな趣が強いことも。
この記事では、ブダペスト〜ウィーン間を走る列車を、実際にブダペスト東駅で撮影した画像を交えてご紹介します。さらに、時刻表の見方や座席予約のコツも解説するので、旅の計画に役立ててくださいね!
最近ウィーンに行けていませんが、過去には年に2〜3回訪れていた私がお届けする列車情報、中央ヨーロッパの鉄道旅にお役立ていただければ嬉しいです🎉
りり / 旅行大好き
ハンガリーの首都、ブダペスト在住19年
1人旅が大好きで、世界50カ国以上を訪問
東京で旅行会社に4年勤務経験あり
ヨーロッパに長年いるけれど、実はインドや暖かい国が大好き
旅のプロとして、みなさんに役立つハンガリー情報や、旅行情報をお届け中!
ハンガリー旅行に関するお問い合わせもお気軽にどうぞ!
列車の種類の確認方法・シートマップの活用
ブダペスト〜ウィーン間の列車予約をする際は「レイルジェット / RJX」と「ユーロシティー / EC」の2種類の電車があります。(厳密には、夜行列車の走る夜中および早朝には「ユーロナイト / EN」という名称の場合があります。)
それらの列車がいつ運行しているのかを確認する方法や、車両のタイプについて紹介します。
時刻表で列車の種類と始発駅・終点駅の確認する
ハンガリー国鉄の「MÁV-START új ELVIRA」というチケット予約のウェブサイト画面を共有しています!
ブダペストからウィーンへは、基本的に1時間に1本列車が走っています。2025年1月のとある日の時刻表は以下の通りで、毎時40分に出発しています。
各時刻の列車を詳しく見ると、早朝以外はレイルジェットとユーロシティーが交互に並んでいます。
レイルジェットもユーロシティーも最安値は同じなのですが、レイルジェットの方が予約が多いのか、値段が高めの傾向があります。
レイルジェットはすべてブダペスト始発でオーストリア行きもしくはドイツ行きです。ブダペストでは、誰も乗っていない列車に乗り込むことになります。
ユーロシティーも多くがブダペストが始発で、ウィーンが終点です。
しかし、いくつかのユーロシティーはルーマニアやウクライナからの車両も一緒に到着するので、ブダペスト到着時には、長旅で疲れたお客さんが乗っている場合もあります。(記事後半で実際の様子をご紹介します。)
例えば、14時40分ブダペスト発ウィーン行きのユーロシティーは、ルーマニアおよびウクライナを午前中に出発した電車が連結されています。
- レールジェットはブダペスト始発!
- ユーロシティーもブダペスト始発が多いが、一部はルーマニア・ウクライナ方面から到着!
予約時はシートマップ活用を推奨!
オーストリア系のレイルジェットの座席は型が決まっていますが、ハンガリー系のユーロシティーの場合、同じ1等車・2等車なのにコンパートメントタイプとクロスシートタイプが混ざっていたり、時間帯によって連結している車両が異なったりします。
シートマップを上手に活用すれば、どんなタイプの車両であれ、お好みの席を選びやすいです!
レイルジェットのシートマップ
レイルジェットの2等車はクロスシートの車両で、テーブルを4人で囲む席や、テーブルなしで2人並びの席があります。例えば2人旅の場合、テーブル席(54,55,56,57など)で他のお客さんと一緒に座るのは気をつかうと思う場合は、2人並びの席(35と37、61と63など)を選びましょう。
細長い四角がテーブル、ところどころにある点線で囲まれたスペースは荷物置き場です。
レイルジェットの1等車は「普通の1等車」および「ビジネスクラス・ファーストクラス」の2種類があります。
27号車はビジネスクラスとファーストクラスの車両。ご覧の通り、かなりゆったりした作りになっています。
ユーロシティーのシートマップ
ハンガリー系のユーロシティーは、「コンパートメント」と「クロスシート」の両方の車両が存在します。
「コンパートメントの密室間が苦手」という声を時々聞きますが、シートマップでしっかりと車両の作りを確認すれば、お好みの席を選ぶことが可能です。
コンパートメントの席は、通常6人掛けで片方に廊下が続いている作りです。
シートマップだけでは車両の古さなど分かりませんが、良さそうな席を選んで、快適な鉄道の旅が過ごせますように!!
シートマップの出し方や、ハンガリー国鉄のサイトからチケットを予約する方法について、こちらの記事で説明しているのでご参照ください!
国際列車の1等車をブダペスト東駅発着で利用する場合、プレミアムラウンジを無料で利用できます。詳細はこの記事でご確認ください!
東駅に停車していた、ウィーン行きの列車3台の様子
2024年12月現在、ブダペスト東駅発のウィーン行き列車は「毎時40分」に運行しています。
12月末の午後に東駅へ行って、出発前の列車を撮影させてもらったので、その様子をみなさんにシェアしていきます!
ユーロシティー(12時40分発、ブダペスト始発➡️ウィーン行き)
ブダペスト始発のユーロシティー。ウィーン行きというとメジャーな路線なので、駅の中央のプラットホームから出発すると思いきや、奥まった5番プラットホームからだったのは正直びっくりでした。
外から見ると全て同じ青と白の列車ですが、各車両の様子はそれぞれ異なります。
2等車(様々なタイプあり)
2等車の412号車。画像だけだと分かりにくいと思いますが、ハンガリー国鉄の中で新しいタイプの車両で、中央にファミリー向けの壁で仕切りのある座席もあります。
続く413号車はコンパートメントタイプの車両でした。
その後に続く414号車と415号車は、4人掛けの席がずらりと並ぶ車両。このタイプの車両は今回初めて見ました。
1等車
1等車は2等車に比べて1列少なく、ゆったりとした作りです。ハンガリー国内の1等車はレストランカーと一体化していて座席数が少ないですが、国際線の1等車は1両全体に席が敷き詰められています。
レストランカー
レストランカーも付いています。この後でご紹介するレイルジェットに比べると、座席がたっぷり設けられています。
メニューはこちら:https://www.mavcsoport.hu/sites/default/files/upload/travel-offer/document/public/wr2.pdf
レンジでチンするお料理なので期待は禁物ですが、軽くコーヒーとスナックだけいただきながら過ごすのは気分転換にもいいと思います!(座席に置いてきた荷物には念の為ご注意ください。貴重品は必ず携帯しましょう。)
レイルジェット(13時40分発、ブダペスト始発➡️ミュンヘン行き)
赤い車体が目を惹くレイルジェット。通常、中央の4つのプラットホームのどこかから出発します。
ブダペスト始発なので、到着便に遅れがなければ、出発40分くらい前には清掃も終わって乗車できるようになっています。
2等車
2等車は2列+2列で、テーブルを囲む4人席や2人横並びの席が並びます。
車内2〜3か所に小さいですが荷物置き場も設置されています。
今回見かけたのが「クワイエット・ゾーン」のマークのある2等車。チケット予約ページからは、クワイエット・ゾーンの予約とそれ以外の予約の違いがよく分からなかったのですが、こんな車両もあるみたいです。
1等車
1等車は1列+2列のゆったりした作りで、2等車と同様に荷物置き場もあります。赤いヘッドカバーがアクセントになっています。
ビジネスクラス・ファーストクラス
ビジネスクラス・ファーストクラスの車両は、普通の1等車よりもさらにゆったり。座席の肘掛けや足の部分もしっかりしていて、肩の部分にライトもついています。
夫が仕事で乗車した際は、コーヒーのサービスも含まれていたそうです。
レストランカー
レストランカーもついています。この列車はミュンヘン行きで最長約8時間の旅になるので、利用する人も多いのではないでしょうか。
メニューはこちら:https://www.genussaufschiene.at/en/food-beverages/
昔、座席指定をしないでウィーンから乗車したら、ブダペストの夏の音楽フェスティバルに向かう人たちで大混雑。着席できないことがあったのですが、その時にレストランカーでコーヒーを飲みながら過ごしたことを思い出しました。
今回直接確認できなかったのですが、たしか、コーヒーなどを乗せたカートを、レストランカーから車内販売するスタッフさんもいるはず。ハンガリーの列車では見かけないサービスです。
ユーロシティー(14時40分、ルーマニア・ウクライナ方面から到着➡️ウィーン行き)
ユーロシティーの中でも、ブダペスト始発ではないのが14時40分発の便。ルーマニアとウクライナから出発した車両も連結して、ハンガリー東部の駅を経由してブダペストに到着します。
12時40分発のユーロシティーのプラットホームが奥まった5番ホームから出発して驚きましたが、この列車はさらに奥に位置する3番ホームに停車しました。
ブダペスト到着予定時刻が14時20分で、ウィーンへの出発時刻は14時40分。駅に早く着いて待っていても、14時20分以降にしか乗り込めない列車です。
ハンガリーでは見かけない年季の入った2つの車両はルーマニア製。ルーマニアおよびウクライナの国境から朝出発しています。
残りの車両は全てハンガリー製です。ブダペストで20分の停車時刻があるため、長旅で疲れた人たちがプラットホームへ降りて手足を伸ばしている姿が見られました。
2等車(コンパートメント車両が多い)
ルーマニアのコンパートメントタイプの車両の座席がこちら。結構時代を感じさせられます。
ハンガリーの車両には、お馴染みのクロスシートタイプもあるのですが、予約画面からはなぜか表示されません。ブダペストより手前から乗車した人専用かと思いましたが、それでも出てこないです。
座席指定なしで利用できる車両だったのかもしれません。ブダペストから乗車して、空いている席があるかどうかは、その日の混み具合によります。
1等車
今回初めて見たのですが、コンパートメントタイプの1等車です。確かに、コンパートメントの幅はゆったりしていました。
長旅をしてきた人が多いのか、中で寝転んでいる人がたくさんいて、1等車でしたがカオスな雰囲気でした。空いているコンパートメントがなかったので撮影できていません。
レストランカー
12時40分発の列車と同じレストランカーが連結されていました。リフレッシュがてら利用するのもいいですね。
【まとめ】ブダペスト〜ウィーン間の列車を在住者が比較・解説!
ハンガリーの首都ブダペストとオーストリアの首都ウィーンは、列車で約2時間半。中央ヨーロッパを旅する時、この2都市をセットで訪れる人も多いです。
ブダペスト〜ウィーン間は1時間に1本の列車が運行されていますが、同じ路線でも「ハンガリーの”ユーロシティー”」と「オーストリアの”レイルジェット”」では、車両の雰囲気がかなり違います。
オーストリアのレイルジェットはモダンで整然とした感じですが、ハンガリーのユーロシティーはローカル感が漂い、車両によってはかなりレトロな場合もあります。
多くの人は旅のスケジュールに合わせて列車を選ぶと思いますが、時間に余裕があれば「レイルジェットに乗ってみたい!」「ハンガリー国鉄で最後は出国しよう!」と、気分に合わせて選ぶもいいですね。
座席予約をする場合は、シートマップの利用が断然おすすめ!せっかくの2時間半、少しでも快適に過ごせるように、お気に入りの座席を選んでみてください。
この記事が、あなたの旅の参考になれば嬉しいです!
スロバキアの首都ブラチスラバにも、ブダペスト西駅から2時間30分で到着します。日帰り旅行した時の様子を記事にまとめました。