2024年9月のとある日に、ブログの読者様から「KOLODKOの彫刻探しが楽しかったです」というお便りをいただきました。
KOLODKO(コロドコ)って何⁇と思って早速調べてみると、どうやら人物の名前のよう。
コロドコ氏はブダペスト在住で、自らを「ゲリラ彫刻家」と名乗り、街に「ミニ彫刻」を許可なく(!)飾っているという情報を入手しました。
イギリスを拠点にする「”バンクシー”の彫刻家バージョン」のように思いましたが、バンクシーとは少し違い、コロドコ氏の素性はある程度明らかになっています!
私も早速ブダペストの街に探しに出かけてみたところ、次のような小さな彫刻たちに出会えました!
コロドコ氏の作品は「アニメや映画の登場人物(動物)」「有名なハンガリー人」「彫刻の設置場所に関連するもの」「ハンガリーを代表するもの」など様々。
小さな作品なので風景にさりげなく溶け込み、街にささやかな彩りを添えています。
小さい彫刻ばかりでなく、手のひらサイズや、それ以上の大きめの彫刻も結構ありました!
こんな方にコロドコのミニ彫刻探しをおすすめしたいです。
- ブダペストで一般的な観光だけではなく、ちょっと変わった冒険をしてみたい!
- 小さくてかわいいものが好き!
- 彫刻など美術に興味がある!
- ハンガリーの文化や歴史に思いを馳せたい!
今回の記事では、「ゲリラ彫刻家コロドコ氏」の作る作品は、「どんな様子でどこで見つけられるか?」などの情報を盛り込んでいます。
ミニ彫刻探しの旅に出てみたいと思った方は、ぜひ参考にしてください!
ミニ彫刻にはあまり興味がないという方も 、作品に関連したハンガリーの人物・歴史・アニメーション・文化なども知ることのできる内容になっているので、最後まで読んでお楽しみいただけたら幸いです🎉
【旅の指さし会話帳】
かれこれ20年くらい前に私も持っていたので、懐かしい!!と思わず表紙に見入ってしまいました。
かわいいイラストと共に、旅に便利な単語やフレーズが盛り込まれています。
ハンガリー旅行のお供にいかがですか?
りり / 旅行大好き
ハンガリーの首都、ブダペスト在住19年
1人旅が大好きで、世界50カ国以上を訪問
東京で旅行会社に4年勤務経験あり
ヨーロッパに長年いるけれど、実はインドや暖かい国が大好き
旅のプロとして、みなさんに役立つハンガリー情報や、旅行情報をお届け中!
ハンガリー旅行に関するお問い合わせもお気軽にどうぞ!
ゲリラ彫刻家 コロドコ・ミハーイ(Kolodko Mihály)とは
ブダペストを中心に「ゲリラ彫刻」で人々を愉しませているコロドコ・ミハーイ氏(Kolodko Mihály)はウクライナ出身。
1978年にスロヴァキアとハンガリーの国境に程近いウージュホロド(当時はソビエト連邦)で生まれました。
母方の祖母がハンガリー人で、祖母との会話とテレビで見るハンガリーのアニメから、ハンガリー語を学んだそうです!
ウクライナのリヴィウ芸術アカデミーで記念碑彫刻を学びますが、旧ソビエト時代のような巨大なモニュメントを造る時代は終わったと感じ、2010年頃から小さな彫刻作品を手がけるようになります。
小さな彫刻は早く作れて持ち運びも簡単などの利点が多く、小さくても記念碑的なアイデアを表現できるのが大きな利点。
ミニ彫刻を作っていく過程で、コロドコ氏は「人々は小さいものを好む傾向がある!」と気がついたそうです。
彫刻設置の許可を取る長いプロセスを省くべく、思い切って「ゲリラ作戦」で町に彫刻を飾りはじめました。
2016年に家族とハンガリーへ移住。ウクライナの首都キエフより、長年魅力を感じ心の距離の近かったブダペスト近郊へ引越して、現在はブダペスト在住です。
コロドコ氏がソビエト連邦時代に見たハンガリーのアニメのインパクトがとても強かったようで、それらの登場人物(動物)が多くの作品に反映されています。
それ以外では、歴史上有名なハンガリー人の彫刻、社会的なメッセージを込めた作品、彫刻の設置場所に関連した作品など様々です。
2024年10月現在、コロドコ氏の作品はハンガリー・ウクライナ・クロアチア・ドイツ・スウェーデンなどに80点以上あります。
ブダペストでは2016年からゲリラ彫刻活動を開始、市内に50点近い作品を見つけることが可能です。
今ではたくさんのコロドコファンが存在し、作品が発表されると様々な考察や感想が飛び交います。作品には帽子やマフラーがよく被せられ、人々から愛されています。
ブダペストにあるコロドコ作品の探し方
Google maps
Google mapsで「KOLODKO SZOBROK(コロドコの像)」と検索すると、彫刻の位置が表示されます。
位置表示はかなり正確なので、コロドコのミニ彫刻探しの強い味方になること間違いなしです!
各ミニ彫刻の紹介の後に、Google mapsの位置情報のリンクを貼ったので、お役立てください!
コロドコマップ
以下のリンクからは、ブダペストに限らず、ハンガリーと周辺諸国のコロドコ作品の位置も検索できます。どのような作品があるかのリストも見ていて面白いです。
マップは慣れるまで少し扱いにくいですが、ズームしていくとそれぞれの詳しい位置が表示される仕組みです。
ブダペスト以外へお出かけの方は、行き先にコロドコのミニ彫刻がないか検索してみてはいかがでしょう!?
バッチャーニ広場周辺
ルービックキューブ(2019)
「ルービックキューブ」はハンガリー人の発明品です!
ルービックキューブは、ブダペスト生まれの建築学教授ルビク・エルヌー氏(Rubik Ernő、 1944-)が1974年に発明。もともとは空間認識力を高めるための教育ツールとして考案されました。
誰もが知るルービックキューブに敬意を表し、コロドコ氏は国会議事堂の見える位置にそれを設置しました。
ドナウ川の遊歩道から川沿いの道路へ続く階段の壁を探してみてください。
コロドコ彫刻のことを教えてくださった読者様は、最初にこのルービックキューブを偶然見つけてから、彫刻探しの旅に出たそうです!
ルービックキューブ | |
---|---|
住所 | Budapest, Sztehlo Gábor rkp., 1011 |
悲しい戦車(2017)
1956年の革命(ハンガリー動乱)をテーマにした作品。
当時、学生や労働者が中心となり、ソ連からの独立と改革を訴えましたが、最終的にソ連軍が戦車をも投入し武力で鎮圧。3,000名近くの市民が亡くなり、20万以上が亡命するきっかけとなりました。
戦車の砲身が力無く下を向いていているのが、さまざまな解釈を思い起こさせます。
革命の起きた10月23日はハンガリーの祝日です。ハンガリーの祝日情報はこちらの記事にまとめました。
ミミズ(2016)
コロドコ氏の「ブダペストで最初のゲリラ作品」がこちら!
1980年代に人気のあったハンガリーのアニメ「A nagy ho-ho- ho-horgász」に登場する、愉快な漁師の相棒のミミズ(Főkukac)です。
ハンガリーへ移住したばかりのコロドコ氏が、ウクライナでの以前の生活と、ハンガリーでの新しい生活を融合させるべく、思い出のキャラクターを作品にして飾ったそうです。
コロドコ氏がYouTubeのインタビューで「子供の頃にインパクトのあった(ソ連のアニメとは異なる)ハンガリーのアニメの思い出を作品にしたかった」と語っている通り、この後もハンガリーのアニメのキャラクターが街中に登場することになります。
ミミズ(Főkukac) | |
---|---|
住所 | Budapest, Bem rkp., 1011 |
王宮周辺
チェック柄の耳のうさぎ(2018)
ハンガリーのアニメに登場するうさぎ (A kockásfülű nyúl,、1977-1979にテレビで放映)で、長い耳をプロペラにして空を飛べるとても愛らしいキャラクターです。
アニメの中でも長い望遠鏡を持って何かを見ているシーンがあるのですが、その姿が再現されています。
王宮の丘の上、ケーブルカー乗り場近くのビューポイントで見つけられます。
うさぎの元ネタの絵本の作者は、ブダペスト出身のマレーク・ベロニカさん(Marék Veronika, 1937-)。
海外の絵本はキャラが濃かったりアクが強かったりする中、ベロニカさんの描くキャラクターは、日本人にも親しみやすいかわいさがあります
日本では「ラチとライオン」が大人気!私も1冊持っています。
「くまのブルンミ」シリーズもかわいくて、うちの子供たちも大好きです。
王宮の丘の情報を詳しくまとめた記事はこちらです。うさぎは地図上の②のエリアにいます。
チェック柄の耳のうさぎ | |
---|---|
住所 | Turul madár szobor, Budapest közelében, 1014 |
「コンポートはない」<ロシア人はもうパントリーにいる!>(2022)
第2次世界大戦を描いたハンガリーの風刺コメディ映画「A tizedes meg a többiek(伍長と他の者たち)、 1969年」の中で放たれた「ロシア人はもうパントリーにいる!」というセリフが流行します。
コンポートを探しにパントリーに入った人物が、そこに潜むロシア人を見つけた場面を描いた作品です。
コロドコ氏はハンガリー人のユーモアを表現したかったそうです
歩道の壁の隙間をうまく使った作品で、パントリーの扉は開け閉めも可能。
パントリーに潜んだロシア兵は銃を持っており、パントリーの中には小さな椅子もおいてある作りです。ヴァールケルトバザールの前の通りで探してみてください。
奇しくも、制作の途中でロシアによるウクライナ侵攻が始まり、ウクライナ出身のコロドコ氏も衝撃を受けたそうです。
「コンポートはない<ロシア人はもうパントリーにいる!>」 | |
---|---|
住所 | Budapest, Várkert rkp., 1013 |
セール・カールマン広場周辺
「ブダで犬市は一度だけだった」(2022)
不思議なタイトルと可愛らしい犬たちの彫刻は、ハンガリーの物語と諺に由来します。
15世紀に活躍したハンガリーの名君マーチャーシュ王が、変装して町に出かけた際に貧しい親子に出会います。
彼らに「牛を売ってお金を準備し、できるだけ多くの犬を買って、市場へ連れて来るように」とアドバイス。市場が開かれた当日にマーチャーシュ王とお金持ちらが現れ、親子から犬を高く購入しました。
それを見た別の人物が、財産を犬に投じて次の市場の日に現れますが「ブダで犬市は一度だけだった」と宣言され、財産をなくしてしまうお話です。
ハンガリーでは「ブダで犬市は一度だけだった = 同じチャンスや出来事は二度とない」という諺になっています。
地面に埋め込まれた「マーチャーシュ王の横顔のコイン」もコロドコ氏の作品です。
この地区にはベンチと緑が一体になったスペースがいくつかあり、犬の彫刻とマーチャーシュ王のコインも離れてバラバラに飾られています。頑張って探してみてください。
「ブダで犬市は一度だけだった」 | |
---|---|
住所 | Budapest, Batthyány u. 26, 1015 |
備考 | 観光地とは少し関係のない住宅街の中ですが、犬たちがかわいいので気になる方はぜひお出かけを! バッチャーニ広場から歩いても10分くらいです |
メック・エレク なんでも屋(2018)
「メック・エレク、何でも屋」というハンガリーのテレビ人形映画シリーズの主人公。(Mekk Elek, az ezermester、1974-1975にテレビで放映)
ぱっ見だと兜をかぶった戦士のように見えますが、メック・エレクはメガネをかけたヤギのおじさんです。
本人は「何でも屋」と自称していますが、不器用で仕事が上手くいかず、お客さんとトラブルになるドタバタ劇が繰り広げられます。
セール・カールマン広場の階段の手すりの下にあります。
メック・エレク なんでも屋 | |
---|---|
住所 | Budapest, Széll Kálmán tér, 1024 |
備考 | セール・カールマン広場には、別の彫刻家(Plank Antal)のミニ彫刻作品もあって、Google mapsで検索するとでてきます |
デアーク・フェレンツ広場周辺
ヘルツル・ティヴァダル<テオドール・ヘルツル / イスラエル建国の立役者>(2018)
ユダヤ民族の独立国家を求めたシオニズム運動の創始者であるヘルツル・ティヴァダル(Herzl Tivadar, 1860–1904)は、ブダペストのシナゴーグのあるドハーニ通りで生まれました。
イスラエルでは「現代シオニズムの父」と称され、エルサレムには彼の名にちなんだ「ヘルツルの丘」があります。
大学生になる頃に引っ越したウィーンでは自転車が流行しており、当時のモダンなライフスタイルの象徴とされていました。ヘルツル自身も自転車を使って移動していた記録が残っており、その姿が作品になっています。
ヘルツル・ティヴァダル(テオドール・ヘルツル / イスラエル建国の立役者) | |
---|---|
住所 | Budapest, Dohány u. 1, 1074 |
ハリー・フーディーニ<伝説の奇術師>(2015)
ハリー・フーディーニ(Harry Houdini、本名Weisz Erik、1874–1926)は、ハンガリー生まれの伝説的な脱出アーティストで、20世紀初頭にアメリカのエンターテイメント界で一世を風靡した人物です
幼少期に家族とともにアメリカへ移住し、最初は手品師としてキャリアをスタート。その後、脱出芸に転向し、手錠や鎖、牢獄からの脱出を得意としました。
脱出パフォーマンス前の、手足を手錠や鎖で繋いだ格好が彫刻になっています!
こちらはゲリラ作品ではなく、正式な依頼を受けて作られたものです。
K11というカルチャーセンターの受付に置いてあって、自由に出入りが可能。
入り口は落書きで荒れた雰囲気ですが、思い切って入場してみてください。正面突き当たりの右側に扉があって、平日は18時まで、土日はお休みです。
ハリー・フーディーニ(伝説の奇術師) | |
---|---|
住所 | Budapest, Király u. 11, 1075 |
備考 | カルチャーセンターの営業日と営業時間にご留意ください |
ミスタービーンのくま<BREXIT>(2020)
2017年まで英国大使館として使われていた建物の壁に、小さなくまの彫刻が飾ってあります。
人々はこれを「ミスター・ビーンのくま」と呼んでいます
イギリスがEUから離脱をした2020年の作品で、コロドコ氏のFacebookでは、くまの画像と共に”Brexit(ブレグジット)”とだけ説明書きがありました。
ミスタービーンのくま(BREXIT) | |
---|---|
住所 | Budapest, Harmincad u. 6, 1051 |
くさり橋周辺
バルーンドッグと骨(2019)
バルーンドッグと骨のミニ彫刻は、アメリカの現代アーティストのジェフ・クーンズの作品に敬意を表して作られた作品。
ジェフ・クーンズの最初の奥さんはハンガリー出身のセクシー女優で、バルーンドッグの前に立つインターコンチネンタルホテルで女中として働いていたため、この立地が選ばれたようです。
他のコロドコ作品と比べると、何を表現しているのかちょっと分かりにくいかな…?という感想を持ちました。
バルーンドッグと骨 | |
---|---|
住所 | Budapest, Belgrád rkp. 26, 1056 |
ロシュコヴィッチ・イグナーツ<画家>(2014)
ミニ彫刻ではありませんが、こちらもコロドコ氏の作品です。
ハンガリーの画家ロシュコヴィッチ・イグナーツ(Roskovics Ignác, 1854 – 1915)は、宗教画や歴史画、日常生活の情景を描く作品で知られ、ハンガリーのアート界で重要な役割を果たしました。
王宮内部の聖イシュトヴァーンホールの壁画なども手がけています
ドナウ川のほとりで絵を描いている姿が印象的。先のバルーンドッグの近く、インターコンチネンタルホテルの前に立っています。
ロシュコヴィッチ・イグナーツ(画家) | |
---|---|
住所 | Budapest, Belgrád rkp. 1056 |
国会議事堂・自由広場周辺
月面探査車(2019)
ブダペストの「Hold utca / 訳すと”月通り”」にある、車避けの縁石を月に見立てて作られたユニークな作品
コロドゥコ氏と家族がブダペストに初めて引っ越した時に住んでいたのがこの通りで、彼らにとって(少し大袈裟に言うと)人類が月へ上陸したのと似たようなインパクトを感じたことを表現しているそうです。
ハンガリー系アメリカ人のエンジニアで、NASAの月面探査車「ルナローバー」の開発を主導したパヴリチ・フェレンツ(Pavlics Ferenc)氏への敬意も込められています。
月面探査車 | |
---|---|
住所 | Budapest, Hold utca. 1054 |
ロシア帽が帰ってきた(2023)
2019年にコロドコ氏が作った「ロシア帽」という作品が、右翼政党によって斧で切られドナウ川に投げ込まれるという事件が起こりました。
ドナウ川に投げ込まれた「ロシア帽が帰ってきた!」という作品です
「カエルがロシア帽を取り返してくれた」「足があるので、今度壊されそうになったら逃げられる」など、ファンの間ではロシア帽の足に関する考察が様々なされています。
「ロシア帽」を作ることで、コロドコ氏は「ロシアの影響がまだハンガリーに残っている」ことを表現したかったと言われています
「ロシア帽が帰ってきた」は、国会議事堂の前の遊歩道をマルギット橋の方に歩いて行った場所を探してください。
ロシア帽が帰ってきた | |
---|---|
住所 | Budapest, Id. Antall József rkp., 1055 |
備考 | 小さな彫刻で探すのが難しいですが、Google mapsの位置はほぼ正確なので参考にしてください 階段の上から4段目にあります |
斧(2020)
前述したロシア帽の彫刻があった自由広場に新たに作られたこちらの作品が「斧」。もちろん「ロシア帽」が斧で切られたことを表しています。
「斧」は自由広場の北側、植物の柵の上にあります。
自由広場には1945年ソ連のハンガリー侵攻時に戦死したソ連兵の記念碑があり、撤去すべきという議論が常にあるものの、現在まで保存されています。
この自由広場に面してアメリカ大使館が立っています。
コロドコ氏はロシア帽のミニ彫刻を作った後、「アメリカンフットボール選手のヘルメット」を作って設置する予定だったそうですが、ロシア帽破壊事件があって実現しませんでした。
ハンガリーの社会主義国時代の大きな彫像を見てみたい方は、ブダペストの外れにあるメメントパークへどうぞ!
カーミット / ブレキ<マペットショーのカエル>(2017)
イギリスの人形劇「マペットショー」のホストである「カーミット(ハンガリー語では”Breki=ブレキ”と呼ばれています)」の彫刻です。
カーミットの後ろに立つ立派な建物は、ハンガリー国営テレビの旧本社ですが、現在は空き家になっています。テレビの時代に終わりを感じたカーミットは、テレビ局から飛び出てこの公園に佇んでいるんだとか…⁇
カーミット / ブレキ(マペットショーのカエル) | |
---|---|
住所 | Budapest, Szabadság tér, 1054 |
ニューヨークカフェ周辺
ニューヨークカフェの鍵を持つスキューバダイバー(2019)
なんとも独特なこちらの作品は、ブダペストの有名カフェ「ニューヨークカフェ」の入り口から、40メートルほど道を奥に入った場所で見つけられます。
1894年にオープンしたニューヨークカフェは、あまりにも魅力的な場所であるため、「年中無休になるよう願って、お客さんがドナウ川にカフェの鍵を投げ込んだ」という逸話があります。
コロドコ氏のスキューバダイバーが、ニューヨークカフェの鍵をドナウ川で発見して持ってきたようです!
ゴージャスなニューヨークカフェは、接客がイマイチなど微妙な評価がいつも出てくる賛否両論ある場所です。実際に訪問した時の様子を書いた記事はこちらです。
ニューヨークカフェの鍵を持つスキューバダイバー | |
---|---|
住所 | Budapest, Dohány u. 53, 1074 |
シェレシュ・レジュー<「暗い日曜日」の作曲者>(2019)
端正な顔立ちのこの人物は、「自殺を誘発する曲」として世界で有名になった「暗い日曜日」を作曲したシェレシュ・レジュー(Seress Rezső、1899-1968)。
1933年に制作された「暗い日曜日」の影響で、数百人が自殺したという記録もあり、放送禁止になった国もありました。
日本では淡谷のり子、美輪明宏、戸川昌子、加藤登紀子などによってカバーされています
シェレシュ・レジューがピアノの伴奏をして生計を立てていたレストランKis Pipa(現在は別のレストラン)の壁に作品があります。結構大きなサイズです。
レストラン名のKis Pipa(小さなパイプ)に乗った本人がピアノを奏でる中、煙はWi-Fiのマークのようで、現在はインターネットで世界のどこからでも彼の曲を聴けることを示唆しているかのよう。
シェレシュ本人も最後は自らを殺めてこの世を去りました。
シェレシュ・レジュー(「暗い日曜日」の作曲者) | |
---|---|
住所 | Budapest, Akácfa u. 38, 1072 |
備考 | この周辺にはカジュアルなエスニックレストランなどが集まっているので、ヨーロッパの料理に飽きた時に訪れるといいかもしれません 治安は悪くはないですが、ちょっとざわざわした雰囲気の場所です |
ルダシュ温泉周辺
レチョー<ラタトゥイユ>(2021)
2007年に公開されたアメリカの長編アニメーション映画「レミーのおいしいレストラン」に登場する、料理人のネズミ「レミー」の彫刻です。
映画の原題はフランスの野菜煮込みである「Ratatouille(ラタトゥイユ)」であり、その料理はハンガリーの「Lecsó(レチョー)」と似ているので、 レミーの隣には「Lecsó」の文字が描かれました。
どうしてこの場所が選ばれたか不明ですが、橋の下でちょっとネズミでも出てきそうな雰囲気があるから…かもしれません!?
私のおすすめハンガリー料理にレチョーも入っています。付け合わせとして食べるチャンスがあればぜひお試しください!
レチョー(ラタトゥイユ) | |
---|---|
住所 | Budapest, Döbrentei tér, 1013 |
爆弾(2023)
ルダシュ温泉の裏側あたり、ゲッレールトの丘の剥き出しの岩肌に打ち込まれた爆弾の彫刻!
ぶら下がっているのは、ハンガリーの人気アニメーション映画「Vuk(ヴク、1981)」の主人公、キツネのヴクと言われています。
インスタグラムの映像で、爆弾が飛ぶ前に政治ポスターの爆弾が撮影されているので、政治的メッセージが込められた作品のようです。
作品の解釈が難しいですが、「ぶら下がっているヴクがかわいい」と人気があります!
自由橋周辺
フランツ・ヨーゼフ<オーストリア皇帝>(2021)
オーストリア=ハンガリー二重帝国時代の皇帝フランツ・ヨーゼフが、ハンモックでくつろぐ姿で登場です。
彫刻があるのはドナウ川にかかる美しい自由橋。2つの大きな南京錠が、ハンモックを支えている構造がユニーク!
この橋は元々1896年に建設され、フランツ・ヨーゼフ自らが「フランツ・ヨーゼフ橋」と名付けた橋でしたが、1918年に二重帝国が崩壊した後「自由橋」に改名されました。
改名されてしまった橋の上で、フランツ・ヨーゼフ皇帝は何を思っているのでしょうか?
ペスト側からブダ側(ゲッレールトの丘のある岸)に向かう自由橋の右側の通りの、少し幅が広くなった部分に飾られています。
ちなみに、お隣にある白い「エリザベート橋」は、皇妃エリザベートの人気が高かったため、改名されず現在に至ります。
フランツ・ヨーゼフ(オーストリア皇帝) | |
---|---|
住所 | Budapest, Szabadság híd 1319, 1093 |
リサ・シンプソン<ジャンヌダルク>(2024)
アメリカの人気アニメ「ザ・シンプソンズ」で、シンプソンズ家の長女リサ・シンプソンの彫刻です。
ザ・シンプソンズの初期のエピソードは、ハンガリー人のチュポー・ガーボル(Csupó Gábor)のスタジオでアニメーション制作されました。
これと全く同じリサ・シンプソンの彫刻がヤーサイ・マリ広場にあったのですが、残念ながら2020年に盗まれてしまいました。今回は中央市場の近くに設置されています。
ジャンヌダルクという副題がついており、木の柱に縛られ火刑に処せられた彼女を彷彿とさせます。
リサ・シンプソン(ジャンヌダルク) | |
---|---|
住所 | Budapest, Fővám tér 13, 1093 |
ヨーダ(2024)
2024年10月現在、こちらが最新のコロドコ作品です!
地下鉄4号線の聖ゲッレールト広場/工科大学駅で、スターウォーズの人気キャラクター「ヨーダ」が瞑想している姿に出会えます。
なぜこの場所が選ばれたのかは、コロドコファンの考察を待ちたいところですが、ブダペストにしては近未来的な造りの地下鉄4号線が、スターウォーズの世界を少し思い起こさせるのが理由のような気がします!?
ヨーダ | |
---|---|
住所 | Budapest, Szent Gellért tér, 1111 |
備考 | 地下鉄駅構内にあるので、BKKのチケットを持っていないと検札官がいた場合罰金になります 必ず有効なチケットを持って見に行ってください |
マルギット橋周辺
トラバント車<錆びた古いぜんまい式玩具>(2022)
トラバントは、旧東ドイツで生産された経済的な小型車です。デュロプラスト(主にリサイクルされた綿繊維や樹脂を混ぜ合わせたもの)を使った軽量ボディが特徴で、燃費はいいものの安全性や快適性は低い車でした。
冷戦期の象徴的な車として知られています!
トラバントのぜんまい式おもちゃの彫刻は、古き時代を懐かしんだ作品なのでしょうか…!?
私がハンガリーに来た頃は、時々トラバントも街を走っていましたが、最近ではめっきり見かけなくなりました。現在はメメントパークやイベント会場に展示してあったりします。
トラバント車(錆びた古いぜんまい式玩具) | |
---|---|
住所 | Buda Budapest, 0201 Margit híd, 1023 |
死んだリス(2018)
「手に拳銃を持ち倒れているリス」の衝撃的な作品がこちら。事件なのか本人の犯行なのか、誰にもわかりません。
このリスの彫刻の前には、アメリカの人気テレビシリーズ「刑事コロンボ」のコロンボと愛犬ドッグの彫刻が立っています。
刑事コロンボは、果たして事件を解決できるのでしょうか!?
コロドコ氏のウェブサイトを見ると、イタリアのアーティストのマウリツィオ・カテランのリスの作品に影響を受けている様子。
作品にはラテン語の表題もついており「ARS LONGA VITA BREVIS = 技術は長く、人生は短し = 時間を無駄にしてはならない = 芸術は永遠」などの解釈ができます。
西駅周辺
シュカーラ少年(2022)
ブダペスト西駅近くあった1984年開業のデパート「Skála Metró(シュカーラ・メトロ)」は、ハンガリーの社会主義時代に人気を誇っていました。
そのデパートの当時のイメージキャラクターがシュカーラ少年です。
シュカーラ少年は今でも、デパートの方角を笑顔で眺めています。
地下鉄駅(Metró)に直結していて、多くの市民や観光客にとって便利な買い物スポットでしたが、1990年代の民主化に伴い、シュカーラデパートは次第に時代遅れとなりました。
現在ではデパートとしては機能しておらず、建物の一部に、スターバックスや本屋・スポーツ店・スーパーなどが入って営業しています。
西駅には「世界一美しい」と呼ばれる(呼ばれていた!?)マクドナルドがあります。2024年8月に改装工事が終わり、その内装で賛否両論真っ二つ。西駅付近にお立寄りの際は覗いてみてください!
市民公園内
ドラキュラ(2023)
市民公園の中、ヴァイダフニャド城の湖沿いでひっそりと本を読むドラキュラの姿があります。
ドラキュラの正体は、ハンガリーの俳優ルゴシ・ベーラ(Lugosi Béla、1882-1956)。1931年のアメリカ映画「ドラキュラ」で吸血鬼ドラキュラ伯爵を演じ、一躍大スターとなった人物です。
ルゴシ・ベーラの独特のハンガリーなまり、鋭い目つきと洗練された振る舞いが印象的で、彼の演技はドラキュラ像そのものを象徴するようになりました。
市民公園にあるヴァイダフニャド城はトランシルバニア(元ハンガリー領)のお城のレプリカで、ルゴシ・ベーラもトランシルバニア出身。
ドラキュラ伝説もトランシルバニアで生まれたので、これら全てがトランシルバニアつながりになっています。
リラックスしているような哀愁漂うような、その姿がとても印象的で、周りの風景にもうまく溶け込み、個人的にお気に入りの作品の1つです。
市民公園はとても広く、見どころも散らばっているので、お出かけ前にこちらの記事で予習してください!
スターリンのブーツとスケートボード(2022)
市民公園の民族博物館の側にあるスケートボードとブーツの彫刻。
これだけ見ると「??」となりますが、ハンガリー人や歴史の詳しい人であれば、ピンとくるかもしれません。
社会主義時代にはこの場所にスターリンの大きな像が立っていましたが、1956年のハンガリー動乱で破壊され、足元のブーツの部分だけが残りました。
現在その跡には、革命で闘った人々を讃える記念碑が立っています。
(右)2022年に完成した民族博物館 / 画像引用元:Liget Budapest
民族博物館はスキーのジャンプ台が2つくっついたような、ご覧の通りの面白い外観。
これらからインスピレーションを受けたコロドコ氏が、「スターリンの(破壊された)ブーツ」および「スケートボード(スケートボード場のような外観の民族博物館にちなむ)」を組み合わせたユニークな彫刻を作ったと思われます!
民族博物館の大通りに面した方角を探してみてください。
スターリンのブーツとスケートボード | |
---|---|
住所 | Budapest, Dózsa György út 35, 1146 |
リスト・フェレンツ国際空港
リスト・フェレンツ<フランツ・リスト>(2016? / 2018?)
リスト・フェレンツは「フランツ・リスト」の呼び名でよく知られている、フランス・ドイツ・オーストリアなどで大活躍したピアニスト・作曲家です。
実は彼はハンガリー人。西ヨーロッパで過ごす時間が大半だったものの、リスト・フェレンツはハンガリー人であることを誇りにしており、特にブダペストでは何度も演奏活動をしていました。
2011年にリスト・フェレンツの生誕200年を記念して、ブダペスト・フェリへジ空港が「リスト・フェレンツ国際空港」に名称変更しています。
ターミナルの外にあるリスト・フェレンツの彫刻は神妙な面持ちですが、空港ということで何気にトランクに座っているのがかわいいです。
楽譜を折って紙飛行機にしたものもさりげなく置いてあります。
スッと通った鼻筋とトレードマークの肩にかかる長髪が印象的。
リストは非常にカリスマ的な人物で、彼の演奏会では聴衆が熱狂し、特に女性たちから絶大な人気を誇るモテ男だったそうです。
リスト・フェレンツの彫刻は、空港ターミナル2Aの下のフロア(到着ロビー)を出て、右側に少し歩いたところで見つけられます。
空港で少し時間が取れそうな方は、ぜひ立ち寄ってみてください。
リスト・フェレンツ<フランツ・リスト> | |
---|---|
住所 | Budapest, Budapest Ferenc Liszt International Airport, 1185 |
備考 | きちんとした台座があるので、この彫刻はゲリラ作品ではなさそうです |
【まとめ】ブダペストにある「コロドコ彫刻探し」
ブダペストを中心に活躍するのコロドコ氏は、ウクライナ出身の彫刻家。
小さな彫刻を作っては、許可を取らずに街に設置をする「ゲリラ彫刻家」として活動しています。
彼の作る作品の内容は、子供の頃に見たハンガリーのアニメのキャラクター、有名なハンガリー人、彫刻を置く場所のエピソードを踏まえたものなど様々。
さりげなく風景に溶け込んでいて、見つけるとなんだか嬉しくなります。
ハンガリーのブダペストに作品が集中しているので、コロドコ彫刻が気になった方は存分に楽しんでください!
ツーリストスポットにも作品が隠れているので、ブダペスト観光の合間に、彫刻を探してほっこりしてみてはいかがでしょうか。
私もまだ全ては制覇できていないので、今後少しずつ見つけ出しては、紹介していこうと思っています。
以上、参考になる情報があれば幸いです。