ブダペストから北西に向かって電車で1時間の場所にあるのが、エステルゴム(Esztergom)という古い歴史のある街です。
先史時代から人々が住んでいたと言われており、ローマ時代の集落も発見されています。
ハンガリー初代国王の聖イシュトヴァーン生誕の地であり、彼がローマから送られた王冠を授けられたのもここエステルゴム。
ハンガリーのカトリックの総本山であるエステルゴム大聖堂があり、国の宗教的な中心地です。
エステルゴムはハンガリーの発祥とも言える大切な場所なので、「ハンガリーのローマ」や「ハンガリーのシオン」と呼ばれたりもします。
丘の上に立つハンガリー最大級の大聖堂から望む、ドナウ川や周辺の山々の景色は素晴らしいです。
街には緑も多く歩いていて気持ちがいいです。歴史を感じられる旧市街やドナウ川沿いをぶらぶらして楽しめます。
こんな人にエステルゴムへの旅はおすすめです!
- 大聖堂や教会巡りが好き
- 歴史に興味がある
- きれいな景色を見たい
- ブダペストから日帰りで行ける場所を探している
ブダペストから日帰りでいけるエステルゴムですが、以前から気になっていたホテルが直前予約割引キャンペーンをしていたので、思い立って8月のとある日に家族で宿泊してみました。
8月なのに寒くて小雨も降った週末でしたが、街の様子とホテルの宿泊レポートを一緒にお届けします。
※2023年8月現在エステルゴム大聖堂は改修工事中、トップの写真は2019年に撮影したものです。
りり / 旅行大好き
ハンガリーの首都、ブダペスト在住19年
1人旅が大好きで、世界50カ国以上を訪問
東京で旅行会社に4年勤務経験あり
ヨーロッパに長年いるけれど、実はインドや暖かい国が大好き
旅のプロとして、みなさんに役立つハンガリー情報や、旅行情報をお届け中!
ハンガリー旅行に関するお問い合わせもお気軽にどうぞ!
エステルゴムとは
ケルト人やローマ人も住んでいたとされるエステルゴムですが、900年代にハンガリー人が入居します。聖イシュトヴァーンの父であるゲーザ大公が、ローマ時代の要塞だった場所に居住し、国の統治の拠点としました。
ハンガリー初代国王の聖イシュトヴァーンはエステルゴム生まれ。西暦1000年に戴冠式をエステルゴムで行い、ハンガリーはキリスト教国としての歴史を刻み始めました。
街の名前の由来は諸説あり、様々な呼ばれ方をしてきましたが、1079年にはすでに「エステルゴム」という地名が文書に記されています。
エステルゴムへはブダペストから電車で1時間ちょっとでアクセスできる上に、「ドナウの曲がり角」と呼ばれるこの地域の、ドナウ川・山々・赤煉瓦の屋根の街並みを楽しめるのも魅力の1つです。
エステルゴムにはスズキ自動車の工場があることでも有名で、町を歩いているとスズキの看板をよく見かけます。
運河にある船着場やレンタサイクル、スポーツ総合施設や地元のサッカーチームのスポンサーにもなっています。
エステルゴム観光の楽しみ方3選
エステルゴム観光の最大の目玉はエステルゴム大聖堂です。内部の宝物館では、11世紀から収集された貴重なコレクションを見学できます。大聖堂のクーポラにのぼって景色を眺めるのもいい思い出になります。
2023年8月現在、エステルゴム大聖堂は改修工事中で、グリーンのクーポラの中身が剥き出しになっていましたが、それはそれで意外と渋くてかっこよかったです。
大聖堂の観光を終えたら、街に点在する博物館を訪れたり、歴史を感じさせる街の小道を歩いたり、時間があればスロヴァキアへ橋を渡って行くこともできます。
エステルゴム大聖堂の見学と、そこからの景色を楽しむ
エステルゴム大聖堂はハンガリーで一番大きな教会建築です。高さ約100メートルの大聖堂を実際に目の前にすると、その大きさに驚かされます。
元々建てられていた教会は火災にあったり、トルコ軍に破壊されたりして、現在の姿になったのは19世紀になってからです。
2023年8月、大聖堂の改修工事真っ只中の外観はこちらです。2024年に完成予定ですが、工期が延びる可能性もすでに示唆されています。
大聖堂の一部は工事のため入場ができませんが、通常通り見学できる箇所も多くあります。
大聖堂正面の祭壇画は、1枚のキャンバスに描かれた祭壇画として世界最大です。ベネチア出身のミケランジェロ・グレゴレッティの作品で、聖母マリアの被昇天が描かれています。
今回は子連れだったので大聖堂は近くから見ただけでしたが、2019年には入場してクーポラにも上りました。(2023年8月現在、出発時間が1日数回に限定されていますが、改装工事中でもクーポラには上れます。)
狭い螺旋階段をぐるぐると上るので大変ですが、上からの景色は素晴らしかったです。途中、大聖堂の鐘も間近でみることができました。
大聖堂内部の宝物展では、11世紀から収集されている古く貴重なコレクションの数々が展示されています。戴冠式で仕様された織物や金細工、金でできた十字架、聖人たちの歯や骨などがコレクションの一部です。
宝物展の上の階のパノラマルームではコーヒーなどが提供されていましたが、現在は改修工事のためクローズしています。
大聖堂に入場せしたりクーポラに上らなくとも、ドナウ川方面に回るとこんな景色を誰でも望むことができます。
この景色を見ながら北の方向(右の方向)に進んで行くと、聖イシュトヴァーンの戴冠の像があります。
そこからの景色も本来はとてもいいのですが、私たちが今回訪れた時は小雨が降り始め、風もとても強かったです。
エステルゴム大聖堂の情報
住所 | Esztergom, Szent István tér 1, 2500 |
アクセス | エステルゴム駅からバスでSzent István tér, bazilikaまで約10分、下車後徒歩3分 |
時間 | 7月〜9月 08:00〜18:00 10月〜3月 08:00〜16:00 ※宝物展と地下礼拝堂は15:30まで ※2024年4月以降の情報はまだなし |
予算 | 3,300フォリント ※EUの国籍の6〜26歳には割引あり。6歳以下は無料 ※クーポラのみは2,000フォリント、宝物館のみは1,500フォリント…などの料金設定あり ※2023年8月現在の情報 |
ホームページ | https://bazilika-esztergom.hu/ |
エステルゴム大聖堂周辺の散策
大聖堂からドナウ川の方向に向かって、16世紀から存在しているという約200メートルの急勾配の階段「猫の道<Macskaút>(もしくは猫の階段<Macskalépcső>)」があります。
上るのは少し大変そうなので、大聖堂の見学の後にここを降りてくるのはいかがですか?
猫の道を降りてくると、石畳の可愛らしい通りにでます。
ここにはトルコ占領時代にあったモスク(改装されてかなり新しい雰囲気)もあり、入場料を支払って見学もできます。
モスクとは反対の方面、猫の道を降りて左へ歩いて行くと、ドナウ川の支流沿いの道にでて雰囲気がいいです。
エステルゴムで大きなイベントが開催される時は、この道に屋台などが並んで賑やかになります。
スロヴァキアへ徒歩で行ってみる
時間があったら、ドナウ川にかかるマーリア・バレーリア橋を渡ってスロヴァキア(シュトゥーロヴォ/Štúrovo-<ハンガリー語ならパールカーニュ/Párkány>)へ入ることもできます。
歩いて10分弱程度で、パスポートコントロールもありません。
とりあえず橋を渡って、向こう岸でコーヒーでも飲んだら、「今回の旅行でスロヴァキアも行ってきたよ!」と話のネタになりますね。
スロヴァキア側から見るエステルゴム大聖堂は絵になります。
シュトゥーロヴォの街自体に大きな見どころがある感じではないので、写真を撮って休憩したら、またエステルゴムに戻ってきてください。
ヨーロッパ周遊旅行でドイツ・ポーランド・チェコ・スロヴァキア方面からブラティスラヴァ経由でハンガリーへ電車で入る場合、車窓からもエステルゴムの大聖堂をみることができます。
スロヴァキアの国境の駅シュトゥーロヴォŠtúrovoを出発したら、進行方向右側に要注目です。
ちなみに、ハンガリーに入ってから2駅目のNagymaros-Visegrád駅からは、ヴィシェグラードの要塞も見えます。
宿泊レポート Portobello Wellness & Yacht Hotel(略して”ポルトベッロ ホテル”)
ドナウ川の支流の目の前に立つポルトベッロ ホテルに宿泊してきました。エステルゴム大聖堂へ歩いて行ける距離で、川沿いの立地はのんびりとリラックスできる空気感。
子連れの日帰り観光はどこへ行くにしても大変なので、思い切って宿泊してよかったです。後述するスパ施設やホテルの遊び場で子供たちは楽しんでいました。
ハンガリーでの子連れ旅には、ウェルネスホテルの宿泊が断然おすすめです。
客室
普通のお部屋もスイートルームもお値段がそこまで変わらなかったので、スイートルームを予約してみました。
縦に細長い印象のお部屋はすっきりとしていてなかなかいい感じ。リビングにあったソファーベッドも広々でした。
広いテラスから眺めるドナウ川の支流は雰囲気抜群!
木々の緑が生い茂っていて写真では分かりませんが、エステルゴムの大聖堂もテラスから見えます。
ハンガリーでは珍しく、シャワー室とトイレが分かれていました。
ポルトベッロホテルは、一応ハンガリーでは4つ星ホテルということになっていますが、アメニティーは固形石鹸と液体石鹸だけ。スリッパももちろんありません。
ハンガリー旅行であった方がいいグッズ(スリッパやシャンプーなどホテル関連クッズを含む)についてまとめた記事もあるので、お出かけ前にぜひご一読ください。
スパ施設Aqua Island(渡り廊下で自由に行き来できる)
ホテルの渡り廊下の向こうにアクア アイランドというスパ施設があり、ホテルからバスローブを着てビーチサンダルで自由に行き来できます。
思っていたよりは小さなスパ施設でしたが、子供たちは大喜び。夏休みということもあり結構混雑していて、子供用の浅いプールも子供でいっぱいでした。
ちょうど涼しい日だったので外のプールにはほとんど誰もいませんでしたが、プールから大聖堂も眺められます。
今回初めて見たのですが、こんなふうに大きなビーチボールの中に入って遊んでいる子供たちを見かけました。
ビーチボールは無料で貸し出しされていて、お父さん・お母さんたちが空気入れで膨らませていておもしろかったです。
子供の室内遊び部屋と屋外の公園
スパ施設へ行く渡り廊下の手前に遊び部屋があります。
なかなか広くておもちゃ類もたくさん、ボールプールのあるアスレチックもついています。夕食前など、子供たちで大賑わいでした。うちの子供たちも大喜び。
ホテルの前にはホテル客専用の小さな屋外の遊び場もあって、いつでも利用できます。
レストラン
ポルトベッロホテルで夕食と朝食をいただきました。いずれもビュッフェ形式です。
細長い形をしたレストランには、スープ、サラダ、メイン料理、デザートなどが並んでいます。すごく特別な何かがあるという感じではないですが、美味しくいただきました。
子供用の椅子ももちろん貸し出しされています。レストランの角には子供が遊べるようにおもちゃも置いてありました。
ドナウ川向きのテーブルが明るくてよかったです。
Portobello Wellness & Yacht Hotelの詳細
住所 | Esztergom, Táncsics Mihály u. 5, 2500 |
アクセス | エステルゴム駅からRákoczi tér停留所まで約10分、下車後徒歩5分 |
エステルゴムへの行き方(電車がおすすめ)
エステルゴムへは電車で行くのがおすすめで、ブダペストの西駅(Nyugati pályaudvar)から所要1時間5分です。
ハンガリーの電車の旅は景色が地味なことが多いのですが、ブダペスト〜エステルゴム間は、赤れんがの屋根が並ぶ山間の村など眺めながら行けるので、個人的になかなか好きなルートです。
子連れだと運賃の割引があるので、必ず手続きして購入してください!2023年8月現在、ブダペスト〜エステルゴムの列車のチケットは1,120フォリントですが、子連れ33パーセント割引&ブダペストの定期券利用&オンライン5%割引で450フォリント(約180円)と激安になります。
チケットの購入方法はこちらからどうぞ。
エステルゴム駅から市内へ
エステルゴムから町の中心までは、歩くと30分くらいかかるのでバスを利用しましょう。
バスターミナルは駅を出てすぐ目の前にありますが、街の中心へ行くバスは数種類あるので、どのバス停にバスが来るかちょっと分かりにくいかもしれません。周りの人に聞いてみてください。
エステルゴムのバスの切符は、バスの運転手から買っても自販機で買っても同じ値段なので、運転手から直接購入するのがおすすめです。
大きな声では言いにくいですが、エステルゴムのバスの運転手さんは、切符を勝手に割引価格で販売してそのお金をポケットマネーにする、というのが主流な感じでした…。
ハンガリーでまだこんなやり方をしている(できる)街があるとは驚きです。(本当は225フォリントの切符代ですが、行きも帰りも150フォリントでいいと言われました・笑。それにしてもエステルゴムの切符は安いです)。
エステルゴム観光と宿泊のまとめ
ブダペストからわずか1時間で訪問できるエステルゴム。ハンガリー初代国王が戴冠式を行い、国の宗教の中心となったエステルゴム大聖堂は、風光明媚なドナウ川沿いの丘の上にそびえ立っています。
立派なエステルゴム大聖堂の外観を讃え、内部の祭壇画や宝物館の品々を見学して、クーポラに上って景色を満喫してください。
歴史を感じる石畳の街やドナウ川沿いの散歩も楽しいです。時間があったらスロヴァキアへ歩いて渡って、ドナウ川対岸からのエステルゴム大聖堂を写真に収めるのがおすすめです。
ハンガリー滞在が長ければ、エステルゴムに宿泊してみるのはどうですか。ポルトベッロ ホテルは子連れでも気を使わずに滞在できます。
エステルゴムの訪問が楽しい時間になりますように!!